1 死にませんから

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「ちょっと待って下さい、陛下が…」 陛下って誰!? ……どうしよう。 そのとき、ブラッキーが一吠えしてから火の玉を吐いた、ってええええ!?チェーホフは何やら冷気を纏って鋭い何かを飛ばす。 「おっと」 仮面男(仮称)は軽く避けてから火を消した。そのときに私と仮面男の間に間ができた。 「ここは一応、気の根本ですからね。気を付けないと火事になりますよ?」 突っ込みどころが違う、なに今のアレ! おどけて言う彼に底知れぬ恐怖を感じて私はブラッキーたちと穴から這いだした。ケーラーが穴の中にいないことに不安を感じていたが、彼はすでに穴の外にいた。 てゆうか、ケーラーがなんかデカくなってる。 ケーラーは伏せのポーズでこちらを見て一吠えした。乗れってか?私はケーラーによじ登り必死にしがみついた。他の二匹はついてきているようだ。後ろから何か聞こえたけれどもよくわからなかった。 とりあえず、逃げなければ、逃げなければいけないと心底 思った。気がついた頃には町にいて "あ、お金ない " とか考えていた。 ここって死んだ後の世界だろうか?少なくとも私にわかるのは、天国じゃないことだけだ。小腹がすいたが金はない。持っていたとして、石畳のこの町には通用するだろうか? 言葉は通じるみたいだし、文字も意味がわかる。でも、角が生えた人とか翼が生えた人とか、どこぞの萌え萌えなキャラみたく猫耳しっぽな人がいたりして、とりあえず訳も分からず路地裏でしゃがみこんで三匹の犬と丸まって寝た。
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