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土方の目に自信が戻るのを見て、芹沢は薄く笑みを溢した。
そうだ。
この先、新撰組を待っていることの中には、今以上に絶望する事態も必ずあるはずだ。
そんなとき、てめぇに弱気になられちゃ困るんだよ。
新撰組の為にも、娘のためにも、な。
「芹沢さん……」
自信を取り戻した土方がゆっくりと芹沢に刀を向ける。
「俺はあんたを越える」
芹沢は満足気な笑みを浮かべ、
「掛かってこい」
と答えた。
芹沢は未だに圧倒的な気迫を纏っていたが、土方・沖田ペアも負けず劣らずの気迫を纏っていた。
この短時間でこの二人、化けやがったな。
つくづく面白ぇ連中だぜ。
だが、俺はもう一人化けさせなきゃならねぇ奴がいる。
あいつが来るまで、俺は死ねねぇんだ!
心の中で叫びながら動いた芹沢だったが、ここで予想外の邪魔が入った。
殺し合いが始まる直前まで、芹沢が持っていた徳利である。
布団の上に転がっていたそれに芹沢が乗り上げたのだ。
しまった!?
同時に、好機とばかりに土方が斬りかかる。
しかし、それは芹沢の身体にぶつかることはなかった。
なぜなら、飛来したクナイを防ぐために使ったからだ。
「誰だっ!」
土方が叫ぶと同時に雷が鳴り、クナイを投げた人物を照らした。
「風魔っ!? それに――」
そしてもう一人、小柄な探偵の姿もあった。
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