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時は少し遡る。
斎藤と二人で飲んでいた直斗は室内の異変に気付いた。
いつもなら笑いの中心にいる原田がいないのだ。
不審に思った直斗は辺りを見回す。
すると原田だけではなく、山南や沖田、土方までもがいないのだ。
そして同時に直斗は思い出した。
今日は十六日じゃないか!
文久三年九月十六日、つまり芹沢さんが暗殺される日だよ。
頭の中でその事実を確認して、情報を整理した。
土方さんは僕を新見さんの切腹にまでは暗殺グループに入れていた。
しかし、今回は外した。
となると、今隣で飲んでる斎藤さんは監視役になるよね。
直斗は斎藤と横目に見る。
その姿は普段通り飲んでいるように見える。
しかし、心なしか直斗を警戒している感じもうけた。
僕は新見さんと約束した。
僕が芹沢さんを斬らなきゃならないんだ。
直斗は意を決して立ち上がる。
「どうした?」
予想通り、斎藤は直斗の行動の理由をたずねてきた。
「厠です」
直斗は一言だけ言うと部屋を出る。
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