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「いや、でも依頼がまだ……」
「ご心配なく」
シルは腰にくくってあった袋を外す。
ギルドで支給された袋だ。
中を覗くと毒々しい色の草がギッチリ入っている。
「必要分はもう採取しましたよ」
仕事はやいっス。
「近くに運よく塩の実も生えてたので採ってきました」
袋のヒーラ草の他にも丸い実がたくさん付いた草が入っている。
「塩の実?」
「はい、塩分を実の中に蓄える草です。潰せばそのままお料理に使えるんですよ」
へぇ~。
「それじゃいいですよね?」
「ちょっ、え……?」
俺のことはスルーしてシルはスタスタと歩いていく。
提案じゃなくて決定事項なんですね。
まぁ、昼飯浮くならいいか、な?
―――少女食事中―――
「ふぅ~、おいしかったです」
「…………」
シルは満足そうに息を漏らすが俺は絶句している。
キマイラはめちゃでかかった。
それこそ大型トレーラー並にだ。
しかし、今残ってるのは骨、骨、骨。
あと皮。
肉は欠片も逃さずこの小娘の腹の中。
どうみても体積的におかしい。
……トリコか貴様。
俺はというとシルによる生キマイラ解体ショーを見て見事に食欲が失せました。
いいダイエットになるよ。
嬉しくないし俺太ってもないけど。
「さて充電も完了しましたし、帰りましょうか!」
お腹いっぱいなのはお前だけだ、とつっこむ気力すらない俺はどうやらだいぶお疲れらしい。
はぁ……。
―――
―――――
―――――――
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