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「グアゥ……ゥゥゥ……」
最期の呻きを遺すと巨体は倒れる。
(あらあら、キマイラちゃん死んじゃったわぁ)
悠斗とキマイラの戦場のすぐ近く、木々の間で闘いをじっと見詰めていた陰があった。
身体自体が木の影に隠れていることもあり、その人物の顔をしっかり見ることは叶わない。
しかし特有のカーブを描くシルエットから女性だということだけは判別できる。
(逃げたお仕置きしにきたのに無駄だったわねぇ)
陰は楽しみを取られた子供のようにがっかりと溜息をついた。
・・・・
(―――まぁ、いいわぁ。おもちゃはまだまだあるものねぇ。それに……)
フフッと口許を緩ませる。
(……それに面白い子も見つけたしねぇ)
新しいおもちゃを見つけたことで陰は機嫌を直した。
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