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ポンポン
思い悩んでいると後ろから肩を叩かれた。
振り返ってみると俺の肩に手を置いていたのは筋骨隆々のオッサン。
あ、この人さっき酒場で声だしやってた人だ。
「おうおう、兄ちゃん達だろ『東の森』に行ってたってーのは?」
「は、はぁそうですけど……」
一方的に話し掛けられて戸惑いながらも反応すると、オッサンはガッハッハと豪快に笑う。
唾飛ばすなし。
「命があるたぁ運がいいな!特にそっちの嬢ちゃんなんてキマイラとかちあわせちまったら腹ん中へ一直線だぜ?」
キマイラは今その嬢ちゃんの腹の中ですよ~、とは言えない。
あと唾飛ばすなし。
「アッシュさん、そんなに詰め寄っちゃダメですよ?」
オッサン責めに遭っていた俺にお姉さんが助け舟を出してくれた。
お姉さんマジ天使。
「おっとわりぃな兄ちゃん。俺はアッシュ、キマイラ討伐隊のリーダーだ。ギルド側のな」
オッサン改めアッシュさんは鎧を装備した厚い胸板をドンと叩きながら自己紹介をした。
「俺達は『東の森』の情報が欲しい。どんな小さなことでもいいから教えてくれねぇか?」
今『東の森』には闘いの跡が残ってる……とか?
「そうだな、例えばそのバカでかい荷物の中身はなんなんだ?『東の森』から採ってきたんだろ?」
「あ、ちょっ!?」
言うが速いか、アッシュさんは俺が制止させる暇もなく袋の口を開けた。
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