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「ま、マスター!」
老人はアッシュさんにマスターと呼ばれた。
マスターってことはこの人がボス?
この風貌でギルドのマスター……、まんま某ハンティングゲームだな。
「マスター聞いてくれよ!」
「そんな大声出すでないわ。耳に響く。それに大方聞こえておる」
マスターは曲がった鼻をフンと鳴らすと顔を俺、次いでシルに向けた。
背が俺より頭二つ分以上低いせいでマスターは必然的に見上げる姿勢になる。
見上げてくる顔を見ると深い皺が全体に刻まれ、落ち窪んだ中にギョロギョロした目が観察するように動いている。
すごく……不気味です……
「フンッ」
一通り俺達を見定めると鼻を鳴らして姿勢を元に戻し、アッシュさんの足元に近づいた。
そして節くれだらけの手を袋に突っ込み、中からキマイラの牙を取り出した。
それ自体が大振りのナイフのようなそれをひっくり返しながらじっと見つめる。
真贋を見極めているのか?
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