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ベッキーさんはカウンター下から白い長方形のカードを二枚出した。
無地だが、ちょうど健康保険証ぐらいの大きさがある。
「これが……ギルドカード?」
・
「その素といった方が適切ですね」
俺の独り言にベッキーさんはそう応え、マスターから受け取った金の印鑑入れを開ける。
印鑑入れなのだから当たり前だが、中には判が入っていた。
これまた金細工を施してある。
ベッキーさんは緊張の面持ちで、手を震わせながら判を取り出す。
「スーッ……」
そして判を持ち直すと深く息を吸い、思い切ったように、朱肉も着けずにそのままカードに押しつけた。
押印された瞬間、判と接触した部分から、ジワジワとインクを染み込ませるようにカードは黒に染まっていった。
黒一色に染まりきるとカードはポウッと淡い光を放ち、光が収まるとそこには金文字で大きく『S』と刻まれる。
……『S』?
もう一枚のカードにも同じように判を押すと今と同じことが起こり、こちらも大きく『S』と刻まれた。
二枚のカードが出来上がるとそれをマスターに渡す。
「小僧、嬢ちゃん、手ぇ出しな」
言われるがままに手を差し出すとそれぞれに一枚ずつギルドカードが手渡された。
「両名をギルドランクSへ昇格とする。励め」
……なるほど、とりあえず言わせてくれ。
エェーーーーーーー!!!??
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