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「それがギルドカードじゃ。失くすなよ」
「いやいやいやいや……」
『S』って一番上のランクだろ!?
俺今日登録したばっかのルーキーだぞ。
マスターはムッとして釈然としないご様子。
「なんじゃ、何か不満か?」
「嬉しいですけど……、他の人に申し訳が……」
「フンッ」
馬鹿馬鹿しいとばかりにまた鼻を鳴らす。
「ここでは実力がものを言う。気になどするな」
そうは言われてもなぁ……
「それに、キマイラを倒すような者のランクが低くては逆に他の者に示しがつかんわぃ」
「ユウトさん、ありがたく頂きましょうよ」
シル、ちゃっかりカード貰ってるけどお前キマイラに関しては何にもしてないよな?
お前には遠慮ってものがないのか。
それとも遠慮してしまう俺が日本人過ぎるのか?
「ほれ、小僧も嬢ちゃんを見習え」
「―――分かりました」
手に載せられたカードを握るとマスターは頷いた。
「あとのことはベッキーに聞いておけ。じゃあの」
それだけ言うと印鑑入れを受け取り、踵を反してさっさとカウンターの奥に歩いていく。
「あ、あの!ありがとうございました!」
去っていく背中に慌ててそう言うと、マスターは顔だけ振り返ってニヤリとだけした。
……すいません、やっぱ不気味です。
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