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そうして、マスターはカウンターの奥に入っていった。
残された俺の手の中では『S』と刻まれたカードが鈍く光を反射している。
なんとなくだがえらいもんを貰ったってのは分かってしまう。
「本当に俺が貰っちゃってよかったのかなぁ……」
どうもマスターに言いくるめられた感が抜けない。
悲しいかな、責任とか感じちゃう人なんだよ俺。
「いいに決まってんじゃねぇか!マスターも言ってたがギルドでは実力が第一だ!」
俺の独り言に空気とお友達になっていたアッシュさんがそう反応し、マスターの人選に間違いはねぇ!とも付け加えた。
「それを手に入れられるのは全ギルドの中でもほんの、ほん~っの一握りなんだ。もっと胸張れや」
そう言って俺の背中をバシンと叩く。
その反動で自然と胸を張る形になった。
俺がチートボディなせいで音に反して痛くはないが、叩かれた部分はジーンとした。
月並みな表現だけど『選ばれた人間』ってことになるのだろうか。
そう考えるとジワジワと喜びが染み出してきた。
もしかして、リアルに俺Sugeeeeeeeeee!!!!ってやっていいの?
うは!
「……迷ったり喜んだり、ユウトさんって複雑なのか単純なのか分かりにくいですね」
シルさん、そんな目で俺を見ないでください。
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