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カウンターの受付嬢や依頼をしにきた住人、果ては喧嘩中だったギルド員と騎士までがその水晶に顔を向ける。
キーンキーン キーンキーン ザザッ
誰も言葉を出さなくなった後も一定のテンポで刻まれていた音が、機械的なノイズで遮られた。
音が止んでから何拍かおいて、水晶からは音の代わりに声が流れてきた。
「こちらはラティステリア王国騎士団三番隊副隊長リサ=ソーバーです」
凛とした女性の声だった。
なるほど、あの水晶はスピーカーみたいなものか。
声は更に続く。
「王都の全兵士、及び騎士に伝令。魔術師と思われる二人組の男女の捜索を要請します。二人は都に向かっており、あるいは既に到着していると思われます。発見次第、重要参考人として王城へ同行を願って下さい。
男性は黒髪に黒眼、二十歳前後の青年。女性は銀髪に蒼眼、十五、六歳ほどの少女です。
繰り返します。こちらはラティステリア王国騎士団…………」
女性の声は同じ内容をまた述べたした。
捜索願いか、騎士さん達も大変なんだなぁ。
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