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「貴方達は持ち場に戻りなさい。ではこちらへ」
眼鏡をクイッと直して騎士さんに指示を出すと、リサ副隊長は踵を返して城の方を向いた。
俺は騎士さん達に軽く頭を下げて離れるとそれに続く。
リサ副隊長は俺達がついて来たのを確認して歩き始めた。
ディティールまで凝った木製の扉を通り、レッドカーペットの柔らかさを足裏に感じながら城に入る。
誰とも判らぬ肖像画の掛かった道を進むと広間にでた。
気品溢れる様はまるで映画の世界、というのが素直な感想か。
ん?この世界自体が映画みたいなもんか。
まぁいいや。
外壁と同じように真っ白な大理石が床に敷き詰められ、吹き抜けになっている高い天井から吊されたシャンデリアの光を反射して全体的に明るい。
着飾った人が集まれば今すぐにでも舞踏会が開けそうな雰囲気だ。
「こちらですよ」
ロイヤルさに見入っているとリサ副隊長に歩みを促された。
いかんな。どうもこちらの世界に来てから目新しいものが多くて呆けることが増えた。
気をつけねば。
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