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「では始めさせて頂きます」
その言ってリサ副隊長は机に置かれた記録用紙をペラリとめくり、羽ペンを握るとペン先にインクを浸す。
「まずはお二人お名前などをお教え願います」
そういえば名乗ってすらいなかったな。
「なら俺から。
名前はユウト=ヤマモト。
各地を放浪する旅人をやっています。
この街には今日着いたばかりですね」
「私はシル。
ユウトさんに同伴する旅人です」
俺が自己紹介をすると、シルも簡単に流す。
職業を尋ねられたら『旅人』と答える、というのは前にシルと決めておいたことだ。
簡単だけどこれくらいしか言えない。
というより言う内容がない。
一日が濃すぎて忘れそうだが、俺達はこっちに来てからまだ一夜しか明けてない。
二人分の簡単なプロフィールを書き留めるとリサ副隊長は次の質問に移る。
「ではヤマモト殿、シル殿、確認をとります。貴方達は昨日の夜、トルネ村で盗賊団『北の狼』を捕縛しました。
これに間違いはありませんね?」
……『北の狼』ねぇ。
ただの筋肉バカ集団なのに大した名前が付いてるもんだな。
『ガチホモ倶楽部』とかでいいのに。
アッーーーーー!!!!
「その盗賊団かは分かりませんが、確かに昨日それらしい奴らは捕まえましたね」
縄で縛ったりしたのは村の人たちだけど。
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