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今しがた扉を開けて入ってきた人、改めジェントラル隊長は見ての通り女性だった。
リサ副隊長と同じようなライトアーマーの肩には金の勲章がついている。振り返って見てみると、リサ副隊長の肩には隊長のを一回り小さくしたこちらは銀の勲章がついている。
俺らと歩いてきた騎士さん達にはこんなの着いてなかったのような?
となると階級を表しているのか?
ジェントラル隊長は少し長めのマントに夕日を彷彿とさせるような綺麗な茜色の髪を腰まで流している。普通はそんなに長いと邪魔になるものだろうが、不思議と重そうには見えない。
顔もかなりの美人。しかし、リサ副隊長がキリッとした美人なのに対して、彼女はどこか優しげな柔らかい雰囲気がある。
俺が人間観察をしてると、リサ副隊長がジェントラル隊長に問い掛けた。
「ジェントラル隊長、どうしてこちらに?」
「その堅苦しい呼ばれ方はあんまり好きじゃないなぁ。私のことは名前で呼んでって言ってるじゃない?」
「――……失礼しました、コニス隊長」
「う~ん……まぁ、いいわ」
隊長は少しムッとした顔をしたが、呼び名を変えると元の様子に戻った。
及第点らしい。
俺もコニス隊長と呼ばせて頂こう。ジェントラル隊長って長いんだよね。
「それで、質問に答えて頂いてませんが?」
「ああ、『北の狼』を全滅させた人が来たって聞いてね。飛んできたってわけよ!」
「……失礼ですがお仕事の方は?」
「~~~♪」
コニス隊長は視線を明後日の方に向けながら口笛を吹きはじめた。
サボってきたな、この人。
リサ副隊長は頭が痛いとばかりに眉間を押さえる。その顔は苦労人そのもの。
…………心中、お察しします。
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