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「すいません」
「…………」
俺はそう言い、もう一度礼をした。
顔を上げる時にチラリと見れば、王様の顔には‘断られるとは思わなかった”と書いてある。
わっかりやすいな。
「私もお断りさせて頂きます」
流れに乗ってシルもサラリと断りをいれた。
断る流れがあると言いやすいもんだ。
「……ふむ」
王様は口元に手をあてて考えるような仕草をとる。
「私は確かに断って構わないと言ったが、いやはや、まさか本当に断られるとは。正直言って面食らった」
すんません。
「通常、騎士は厳しい過程を経なければなれぬものだ。地位も名誉もある。君達の実力ならいずれ隊長、……いやもしかしたら団長の座にすら手が届くやもしれない」
いやいやいやいや。
「ギルドに所属するということは他に職があるわけでもないだろう。にも関わらずだ、君達は大した迷いも見せずにそれを断った。なにか理由があるのかね?」
王様は力の篭った目を俺達に向けた。
……え?
これ答えなきゃダメなの?
騎士が人気職だということを考えるとこのシチュエーションは、
就活生に国内トップの大企業の社長が
「君ウチで働かないかい?もちろん入社試験はフリーパスさ☆HAHAHA!」
って声かけてるのに近いわけか……
うん、断るわけないわ、元就職浪人生的に考えて。
不審に思われるのは当然ですかちくしょー。
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