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ふいに乾いた土の匂いが鼻をくすぐる。
しばらくすると白だった世界に色がもどってきた。
どうやら俺はどこかの草原にいるらしい。
今は夜なのか。
真っ黒な空には一面に瞬く星が敷き詰められている。
一瞬地球なのかと思ったが、サファイアのように深い蒼色をした月がここを異世界だと実感させる。
地球に月が2つもあるはずがないしな。
頬を抓ってみると、かすかだが確かな痛みを感じた。
――夢じゃないんだなぁ
そんなことを漠然と考えた。
ビュウッと音を立てながら、心地好い風が頬を撫でながら草原を走っていく。
…………さて、どうしよう?
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