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「いやいや、それでもそのフサフサ姿では違和感バリバリだぞ?」
なんと言っても相手は狼。どっからどう見てもイヌ科の動物なのだ。違和感が拭えない。
「……分かりました。じゃあちょっと下がっててください」
よく分からないがシッシッと首を振るので3歩ほど狼から離れる。
狼は俺が離れたのを確認すると蒼い目を閉じた。
瞬間、その体から濃い青色の炎が噴き出し、狼の体を包んだ。
狼の体が見えなくなっても炎はそのまま激しさを増し、大きな球を作り出す。直径は2mといったところか。
それにしてもかなり温度の高い炎のようだ。離れた場所にいる俺の足元の草もすでに水分を奪われてカラカラだ。
ここら一帯を燃やし尽くす気か?
そんな考えすら浮かぶ勢いだ。
しかし、ごうごうと燃える青い炎はそんなことをする前に、急激に圧縮されたと思うと内側から弾けた。
高温の炎が撒き散らされると、球の中から…………
女の子が出てきた。
…………え?
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