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一旦走り出すとスピードはどんどんあがり、景色がスライドするように流れ去っていく。まるで風になったみたいだ。
しかも全然息切れしない。
最強の肉体万歳。
シル?
あぁ俺の後ろにしっかりついてきてるよ。
この子スゲーわ。
――――――
――――
――
さてと、村に到着しましたよっと。
って、……
「うわぁ……」
悲惨。
一言で言えばそんな状態だった。
木造の民家が炎に貪られ、今も蛇が獲物を飲み込むかのように次々と燃え広がっている。
炭化した住居は支えを失って倒れる。
その熱気が村の入口まで届き、どこかでは家畜が悲痛な鳴き声をあげている。
「ユウトさん、とりあえず消火しましょう」
「分かった」
シルに簡単に応えると閉じていた左手をゆっくり開く。
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