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「まったく、全然なってませんね」
やれやれといった具合に首を振るシル。
どの辺がどう悪いのか俺には分からないが。
「いいですか。炎っていうのは……」
シルはまるで教師が生徒に実演するように人差し指を伸ばすと、それをそのまま頭上に持っていく。
すると空気が熱を帯びたように揺らめく。
後ろにいた俺が熱を感じた次の瞬間、シルの指先から男を軽く飲み込むことのできるであろう巨大な炎の塊が現れた。
「炎っていうのはこうやって使うんです」
「あ、かぁ……」
間近で赤々と燃える炎の塊を見せられた男は腰を抜かしてへなへなと座り込んでしまった。
「たわいないですね」
シルがそれだけ呟くと巨大な炎は霧散した。
これだけ実力差を見せつけられれば戦意喪失するのも仕方ないだろ。
シルさんマジぱねぇッス。
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