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さてさてそれは置いとくとして。
「『北の狼』の件だったわね。報告お願い」
「はい」
ペンを動かす手を止めてリサの話を聞く。
盗賊団『北の狼』は最近この国で暴れ回っていた連中だ。
主に辺境の小さな村を狙い、素早い犯行のために騎士団も捕まえあぐねていた。
今回襲われたトルネ村も例に漏れず、王都からも都市からも離れた村だった。
治安を担当している隊の隊長として私も頭を悩ませていた。
だから今朝一番に奴らの捕縛の報告を聞いた時は本当に信じられなかったのだ。
「先程帰ってきた護送隊がトルネ村で聞き込みを行ったところ、盗賊計21名を捕縛したのは偶然村に立ち寄った旅人。青年と少女だったそうです。2人は魔術師と思われ……」
「ちょっ、ちょっと待って、2人!?」
思わずリサの言葉を遮ってしまった。
話に横槍を入れられてリサは憮然とした表情になってしまったが関係ない。
腕っ節の強い盗賊21人に対して旅人2人。
一体どうやったというのだろう?
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