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「話を最後まで聞いて下さい」
「ご、ごめん」
話を遮られたことが嫌だったようで、若干言葉にいらつきが感じられた。
「話を続けますね。魔術師と思われる2人は盗賊を捕縛、捕われていた村人を救助しました。またその際、青年は見たこともない武器を使ったとも聞いています」
そこまで言うとリサは言葉を切り、手に持っていた水晶を前に差し出した。
「これはトルネ村の駐在兵の記憶を記録した『記憶投影魔水晶』です。どのように盗賊団を制圧したか、詳細はこれを見てくれ、と渡されました」
『記憶投影魔水晶』はその名の通り、記録された誰かの記憶を映像として映し出す魔水晶だ。
本来は訴訟の際に証言の真偽を確かめたりするのに用いられる便利なアイテム。
2人で21人の盗賊とどう闘ったのか……
その真実がこの水晶に入っていると思うと、それを早く見たくて堪らなくなった。
「早く映像を確認しましょ!」
「解りました。では……」
カーテンを閉めて部屋を暗くすると、水晶から放射状に光が放たれ、白い壁に映像が現れた。
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