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始まりは村に起こった火事だった。
火事を知らせる鐘が鳴り響き、記憶の主である駐在兵を含めた村人が皆集まる。
この村は家同士の間隔が狭く、飛び火すれば一気に炎が広がってしまう。そのため村人達は総出で消火活動を始めた。
武器を持った男達が村人を囲うようにして現れたのはその時だった。
汚らしい格好をした男達。こいつらが『北の狼』か。
火事が起これば村人が集まることをわかっていた奴らは首尾よく村人を包囲した。
民家に放火したのが奴らなのは明らかだ。
駐在兵たちはそれに気付くと一人でも助けようと剣を抜き、圧倒的に不利な戦闘に身を投じた。
しかし相手はそれを嘲笑うかのように卑劣な手にでた。
子供達を人質にしたのだ。
剣で応じていた兵もこれでは攻撃できない。
盗賊たちは兵に剣を捨てさせ、縄で縛った。
続いて村人たちも。
丸腰の一般人が凶器を持った相手に対抗できはしないのだ。
……問題はこれからだ。
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