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「ちょうどいい……、このまま報告をさせてもらうぞ……」
オゼットはさっきの男に肩を貸してもらいながら話しはじめた。
「依頼で……『東の森』で魔物の動きを調べてきた……」
傷の痛みからか、話はとぎれとぎれになっている。
「前情報通り森の浅い地域にも……、ランクBの『ホーングリズリー』が進出していた……」
「でもオゼット、お前ランクAじゃねぇか!第一お前なら群れで来られても『ホーングリズリー』ぐらいなんとも……」
どうやらオゼットのランクはA、さらに男の口ぶりからその中でも彼の実力は上位のものだとわかる。
「熊公なんぞにやられはしないさ……。俺は奴らが住家を替えた理由を探りに森の奥まで入った。そこには……ッ」
オゼットの瞳が恐怖で揺れる。
「……なんでこんなとこに居るのかは分かんねぇが、奴がいたんだ!」
「奴?」
「…………▲▲▲▲だ」
「なっ!!?」
その名が口にされると、聞き耳を立てていた野次馬は皆戦慄する。
オゼットが調査を行ったのは『東の森』。
その名の通り、この王都からそう遠くない東に位置する森だ。
―――そしてこの『東の森』はヒーラ草が生える、悠斗らの目的地である。
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