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……なんだろ、すっげー嫌な予感がする。
この世界でこうゆうベタな音がするってことは、ベタなことが起こるってことなんだろう。
面倒なことが。
よし、今のは聞き間違いだ。
何もなかったことにしよう。そうしよう。
ズゥゥゥン ズゥゥゥン ズゥゥゥン
はい、無理でした~。
ズゥゥゥンていってるもの。ズゥゥゥンて。
こんなん滅多に聞ける音じゃないよ。
俺の後ろでは何かが動いてる。
それもかなりでっかいのが。
まだちゃんとした飯も食べてないのになぁ、なんて私的なことを考えながら俺は音源の方へ振り返った。
「……なんだこいつ?」
俺の目に映ったのは巨大なライオンのようなものだった。
俺が昨日相手にしたゴーレムよりは小さいが、後ろ脚で立ち上がればゴーレムを超えそうだ。
金の体毛にこれまた金の鬣(たてがみ)。
これだけならただのでかいライオンだ。
それでも化け物には違いないがこいつはそれだけではない。
その背には巨体に合ったサイズの翼が生え、更に頭はライオンの頭だけではない。
肩の辺りからこちらは純白の毛に覆われた山羊の頭がヌッとでている。
おまけとばかりに大蛇が尻尾代わりに付き、細い舌をチロチロさせている。
ゲームで見たことあるぞ。
・・・・
こいつの名前はたぶん、キマイラだ。
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