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ズドォォォォォォォォォォォォ
「■■■■―――!?!?!?」
スピードをそのままに折り返したグングニルがキマイラを後ろから貫き、山羊の喉を突き破る。
キマイラは声にならない悲鳴をあげる。
山羊の頭は機能を失ったようにダラリと垂れ、破れた喉から蓄えられた高温の炎が傷口に溢れ出し、キマイラはそれを制御出来ずに自らの内側を焼く。
流星のようにキマイラを貫いたグングニルは再び俺の手元に戻る。
キマイラは身を裂く痛みに頭を振り乱している。
……相手は俺を食おうとしたような奴だけど苦しんでる姿を見るとやりきれなくなるな。
このまま放っておいてもいつか死ぬだろうがいっそのこと一思いにやってやろう。
(ま、偽善だけどな……)
自嘲気味にそう思いながら、俺はもう一度グングニルを握り、ジャンプする。
残ったライオンの頭の高さまで到達するとグングニルを両手で持ち、眉間に一気に突き立てる。
ズサッ
「グアゥ……ゥゥゥ……」
最期の呻きを遺し、残った方の頭をやられたキマイラの暴れる体は停止する。
さらに数拍を置いて、キマイラの体は地面崩れ落ちた。
その反動で槍が抜けた俺はグングニルを持って着地する。
横に倒れているキマイラは傷からとどめなく血を流し、赤黒い舌を口外に出したまま動かない。
……勝った。
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