立っちゃいました

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「ん? なんだこれ」  寝ぼけ気味だった頭がそれを見たことでようやく目覚めた。  鏡に映った自分の凄まじい寝癖、ではなく頭に立った、 「旗……か?」  10センチ程の長さの棒にピンと張った赤く染まった三角形の布。 果たして布かどうかわかったものじゃないが。 「いやいやそれより取らないと」  親のいたずらにしてはなかなか手の込んだことだ。 いい歳して何をしてるのか。思わずため息きが出てしまった。  取ったら寝室の真ん中に刺しといてやろう。 鏡を見ながら照準を合わせてヒョイと取った。 はずだったが、それは実体を残したまま俺の手をすり抜けた。
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