主君
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百姓出の藤吉郎が、若き城主と対面出来たのは草履持ちになったからだ。 とは言え、主君の顔をじろじろと見ることなど出来ない。 だから目を伏せて足元だけ見ていたが、その足があまりに白く小さかったので、藤吉郎は冷えた草履を温める為に懐へと入れた。 最初は尻に敷いていた、と斬られそうになったが、藤吉郎が懐で温めていたと知ると――城主はその身を屈め、驚く藤吉郎を真っ直に見つめてきた。
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