主君

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「猿と呼ぶな、犬!」 「貴様こそ、幼名で呼ぶな! この、猿猿猿!」 それこそ、犬猿のようにギャンギャンと言い合った二人だったが――藤吉郎はすぐに俯き、膝についた手で頬杖をついた。 「まあ、結局は人のものなんだがな」 「……お館様は、皆のものだ。お前の主君(もの)でもあるんだぞ?」 ぽつりと落ちた呟きは、藤吉郎が自分に言い聞かせる為のものだ。
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