~出会い篇~

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4月24日(金) 拓磨「………」 布団を被ってベッドで寝ている高校生、七瀬 拓磨(ななせ たくま)。 167cm、48kg。 平均の高校生よりは少しチビなのかもしれないが、入学して1ヶ月も経っていない歴(れっき)としたな高校一年生だ。 今は体を右に傾けて、すやすやと寝ている。 カチッ、ピピッピピッピピッ ピピピピピピピピピピピピ ピピピピピピピピピ!!! カーテンで光を遮断した薄暗い部屋に、電子音が鳴り響く。 拓磨「…ッ…ん………」 目が覚めると、最初に手探りで頭の上のスイッチを押した。 カチッという音と同時に電子音が止む。 拓磨「ハァー…」 二度寝したいのを我慢して重たいまぶたを開く。 右腕を立てて体を起こすと、目覚まし時計に目を遣った。 『7時36分』 拓磨「………ハァ」 また溜め息をつく。 勿論、意味はある。 今日も平凡な朝がやって来たからだ。 平凡だからといって何もしない事もないが、大して特別なことも無い。 かといって、べつに特別を望んでいるわけでもなく、非現実を望むようなイタイ少年でもない。 とりあえず、学校に行かなければならない。 上半身だけを起こし、ぼんやり座り込みながら目覚まし時計を眺めていると、あることに気付いた。 拓磨「………。 ………………………………。 ……………………。 ……………………うわ!!」 ゴキブリにでも遭遇したのか? いや、残念ながら違う。 だが、そう勘違いするくらいに急いで飛び起きた。 拓磨(やっべ!今日から朝補習が始まるんだった!) あはは、何というマジメ。 たかが朝補習ごときに飛び起きれる拓磨が羨ましい。 ところで朝補習とは何なのか。 それは授業0時間目に値する と言っても、ピンとこない人もいるだろう。 学校では毎朝9時にHR(ホームルーム)活動、つまりクラスの担任が生徒の出欠確認をしたり、連絡事項を伝える5分程度の短い時間がある。 1時間目の授業はその後だ。 朝補習は8時から40分間、つまり9時開始のHR活動よりも早く始まる。 結果、朝補習とは1時間目の授業の前にする授業、0時間目といえるのだ。 【時間表(平常50分)】 ※朝補習=0時間目 8:00~8:40(朝補習) 9:00~9:05(HR活動) 9:10~10:00(1時間目)
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