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ぶっちゃけた話、出席さえしていれば平常点は稼げるらしいのだが、出席しなければ1点も稼げない。
とにかく、今日朝補習があることを7時36分、
いや、37分になって、今さら思い出した。
「朝補習」の存在自体を、キレイさっぱり忘れていたのだ。
もっと簡単に言おう。
拓磨は寝坊したのだ。
それなら尚更ベッドの上にいてはいけない。
とりあえずベッドに座ったまま開けれる、真横のカーテンを引っ張った。
ジャララララとカーテンレールの音がすると、眩い陽射しが8畳の部屋に射し込む。
眩しい朝、拓磨にとっては遅刻の朝だ。
天気は晴れても、拓磨の気分は全く晴れていない。
ベッドから降りると、すぐに黒い学ランに着替えて支度を済ませる。
その左隣には三段の引き出しが。
さらに左隣には勉強机。
そのまた左には、茶色い木製のドアが。
ベッドからドアまで、8畳の部屋を一直線に歩いて学校へ行く準備ができる造りになっているのだ。
引き出しの上には黒の斜め掛け鞄が置かれていて、それを掴むと部屋のドアを開け、左に見える階段を速足で駆け降りた。
階段の下はリビングへと続いている。
バタバタと足音をたてながら階段を降りると、テレビの音が聞こえてきた。
おそらく、朝のニュース。
階段を途中まで降りて見える白いソファーには、おそらくニュースを見ているのだろう、母親の横顔が確認できた。
奈美「おはよう」
母親の名前は奈美(なみ)。
今の慌ただしい拓磨とは正反対、落ち着いた表情でニュースを見ていた。
既に私服に着替えて拓磨よりも先にリビングにいることから、寝坊助より先に起きていたことが分かる。
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