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「……あ、そんなんじゃないの。イヤじゃないから」
歩き出そうとしちゃったリョウを、私は必死で呼び止める。
リョウはゆっくりと振り返った。
「そか。ありがと」
……まただ。
またその笑顔を私に見せるなんて、卑怯だよ。
この感情が恋なのか、ただ浮かれているだけなのかわからないけど。
今は自分の感情に素直になろう。私はそう思って、リョウの手を握った。
「……アカリ?」
これでいいの。この感情の正体が何なのか、確かめるんだ。
「この先にね、綺麗な花壇があるんだよ」
「へぇ……花、好きなんだ?」
繋いだ手からリョウの暖かさが伝わってくる。
もう、胸のドキドキを隠すなんて事できっこない。
でも……それでもいいと素直に思っちゃったんだ。
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