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美香は山積みにされたテストを解いていった。
テストは英・数・国・理・日本史・世界史だった。
(簡単だけど、これだけの量を45分では厳しいな…)
美香は問題を解くのに集中していた。 その姿に友永、小山が視線をむけていた。
チャイムがなった。
「後ろから集めてこい。石川は解答をもって職員室まできなさい。」
担任は美香以外の生徒の解答をもって教室から出ていった。
「職員室こいって、ヤバくない?」
真澄が後ろから話しかけた。
「うん…」
憂鬱そうに美香は答えた。
「美香ちゃん。俺一緒にいくわ!なっ!俺が原因やねんし。」中野は申し訳なさそうにしていた。
「中野くんは関係ないよ!悪いのは先生なんだから。気にしないで。」
美香は解答をもって職員室へ向かった。
コンコン!
「失礼します。」
美香は職員室の扉をノックし中へはいった。
職員室にいる職員全員が美香を見た。
美香は皆の視線に怖じけづいた。
担任がツカツカと笑顔で近づいてきた。
「 先生方みんな驚いてるんだよ。ノックに¨失礼します¨だからな!そんな風に職員室に入ってきた生徒は今までにいないからな!」
(そういうことか… )
「先生。解答もってきましたけど。」
美香は担任に解答を渡した。
「石川。さっきは驚かせて悪かったな。でもな仕方なかったんだ。この学校はお前も見た通り、不良ばかりだ。あいつらを制止するののに今までどれだけの教師が殴られてきたか。先に手を出した私も悪かったが、この学校の今までの経緯もわかってほしい。」
担任は話ながら美香の肩を軽く二回たたいた。
美香は何も言わなかった。抗議を今しても虚しくなると思ったからだ。
「私、もどります。失礼しました。」
職員室を出ると中野が美香を待っていた。
「美香ちゃん!さっきはほんまにありがとな。なぁ…今日帰り一緒に帰らん?何かおごらせてや!」
「ありがとう。でも私の家門限あって…5時までに帰らないと…」
中野は一瞬言葉につまった。
「5時?あの~まさか夕方の5時とちゃうやんな?5時?」
美香は門限があることが当たり前だったので、なぜ中野がこんなに驚いているのか、そちらのほうが不思議だった。「そう!まさかの5時。塾あるしね!」
「アカン!こりゃお嬢や!ええ家のお嬢や!」
中野の言葉に美香は自分が少し子供に見られているように感じた。
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