初恋

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4人の喧嘩に次から次と生徒が加わり20人くらいがもみあっていた。 制止していた小山を振り払い、友永は近くにあった椅子を振り上げ、美香にケガを負わせたヤツに投げた。 椅子はその背中に直撃し相手は仰向けに倒れた。 友永は相手にまたがり顔を何度もなぐった。 霞む目を押さえながら美香は友永に近づいた。 美香は 無表情で相手を殴りつける友永の背後から両手で彼の頬を包んだ。 「やめて…死んじゃう…」 友永は真っ赤に腫れあがった顔でグッタリしている相手を見つめながら静かに立ち上がった。 同時にバシッ!バシッ! っと音がして、教師たちが竹刀を床に打ちつけながら中野たちに近づき、生徒たちを殴りつけていった。 「やめないか!いいかげんにしろ!」 担任が美香の姿を見つけ眉間にシワを寄せながら歩いてきた。 美香は顔を背けた。 顔半分が血で赤くなった美香見て担任はため息をついた。 「石川…なんてことだ…」担任は友永の腕を掴んだ。 「お前か!石川に手をかけたのは?この子はお前らとは違うんだ!一緒にするんじゃない。来るんだ!お前たちの処分を考える!」 教師たちは友永たち数人を連れて行こうとした。 「なんで!おかしい…間違ってないですか?」 理由も聞かずに友永や中野を一方的に悪いと決め付ける教師たちに美香は叫んだ。 「先生はみんな、私がケガをしたところを見てたんですか?見ていないのに、どうして私のこのキズをこの人たちがつけたと考えるんですか? 私は誰にもキズつけられていません。 先生はさっき言いましたよね? 竹刀で打つのは生徒たちに話をしても通じないから、仕方がないんだって!話なんかしてないし、聞いてないじゃないですか!話が通じないのは先生方です!そんなだから…生徒たちは先生への信頼をなくしていくんです!こんな学校に私はいたくないです!辞めます!」 美香は怒りで涙が溢れてきた。
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