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(すれ違う人全部男の子…まっ 何人か女の子いるって言ってたし、私一人じゃないんだから!…)
美香は三階の教室まで階段を上った。
教室のドアを開けようとした時いきなりドアが開いた。
「通れない。」
低い声がした。背が低い美香には学ランのボタンしか見えなかった。
「あっ…ごめんなさい。」美香は後退りした。
振り返って見ると背の高い黒髪の後ろ姿が学生の渦の中に消えていった。
(この香り…どこかで… )
美香は嗅いだことのある香水の香りを思い出そうと考えながら教室へ入った。
机に名前の書かれたカードが貼ってある。
(私の席は…あった。廊下側の後ろから三番目か。あっ!それより女の子いる?…いた。私以外に二人?)
美香の席の後ろに二人の女の子がいた。
「よろしく!私は…」
「はい。席に着きなさい!全員そろったら体育館に向かいます。」
振り向くとメガネをかけたスキンヘッドの50代くらいの男性が教壇に立っていた。 みんなが席に着いたのを確認して男性はニッコリ笑って言った。
「今日からこの一年二組を担任する関口です。では廊下に出席番号の順に並んでください。」
私たちは入学式のために体育館にむかった。
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