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美香は始まったばかりの高校生活への不安でいっぱいになり、ため息をつきながら頭をかかえこんでしまった。
「……人も入ったんだな…!…聞いてるのか?」
関口先生の声は美香の耳に入っていなかった。
「美香!ほらっ!」
真澄が美香の背中をつついた。
「…はい! すみません! すぐに!」
美香は慌てて立ち上がった。
「ははは!慌てなくていい。先生も女の子を指導するのは慣れていないからな。男ばかりで嫌なこともあるかもしれないが、困ったことがあったら何でも言いなさい。今年は三人も女の子が入ってきて学校も少しは華やかになるだろうな!
じゃ自己紹介ヨロシクな。」
関口先生はさっきまでとは全く違う優しい目で美香、真澄、あきらを見ていた。
「石川美香です。英語と数学、美術が得意です。」
美香は名前と得意科目を言うのが精一杯だった。
「そうか、君か。成蘭高校を目指していたのは。大学進学期待しているよ!」
関口先生は誇らしげな表情でそう言った。
「へぇ…美香頭いいんだ!テスト助けてよ!」
真澄がそういいながら立ち上がった。
「次は私!浅川真澄。彼氏募集中で~す!」
真澄はクラスメイトに笑顔を振りまき着席した。
「私は桜井あきらです。ヨロシクお願いします。」 あきらは
オットリとした口調で着席したまま応えた。
「全員終わったな。明日からすぐ授業が始まる。遅刻するなよ!今日は解散!」
関口先生が話し終わるのを待たずに男の子たちは立ち上がり教室から出ていった。
「噂どおりヤンキーばっかだね。美香帰ろ!」
一年生で唯一の女の子三人は顔を見合せ教室をあとにした。
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