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足音だけが響く夜
底には人影すらなく
ただ
ただ
足音だけが響く
空っぽのはずの烏の巣は
割れた殻の下
干からびた雛の周りを
ハエが集っている
足音は迷う事もなく
着々と進み
一つの家の前で止まった。
ノック音が激しくなり
まるで予期していたように
一瞬の黒い手がすりぬけ
白い何かをドアの向こうから
引きずり出した
人の首のような白い何かを
満足気に揺らし
足音は静かに消えて行った
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