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「なぁ、山田…」
「はい?何ですかー?」
「サンキューな」
「へ?何が?」
キョトンと首を傾げる山田を見て俺は苦笑する。
「まあ、色々と……な」
「?」
こいつは、一体どれほどのことをしたか分かっているのだろうか。
お前という存在が、俺たち家族の問題を解決する糸口になったんだ。
本人は何て事のないことをしたのかもしれないが、俺にとっては本当に大きな事で、感謝すべきことで。
ここまで他人に手を貸す奴なんていたんだな。
あのカスみてぇな学園も捨てたもんじゃねぇ。
「テメェがモテる理由、分かる気がするぜ」
「はぁ?俺がモテる?何言ってんすか会長ー」
こうして無自覚に周りの人間をひきつける。
こいつ自身はそんなことさせないと言わんばかりだが、残念。
もうすでに、お前は何人かの奴らに狙われている。
山田は俺を見ると、ニッと口元を緩めた。
「会長のがカッコイイですよ」
こういうことを言うから。勘違いする輩が出てくんだよ馬鹿。
「山田……酔うと厄介だな」
「えー。俺そんな酷くないと思うんですけど」
「いや。タラシになるからタチ悪い」
「えー…」
俺、別にタラシなんかじゃ…なんて不服そうに言っている山田を無視して、カッターシャツのボタンを外していく。
鎖骨が見え、ドキリとする。
こいつ、すげぇ肌綺麗だしきめ細かい。
触りたい、なんてクラッときてしまうのも当然だと思う。
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