ウェイターは脇役……のはず

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「ってことで、よく分かりませんがいい加減退いて下さいませんか」 会長の考えていることはさっぱりだが、この体勢はいただけない。 ちょっと待ってろ会長。 今から急いで斗羽くんを呼んでくるから。 そんでここでごゆっくりどうぞって俺が気を遣うから。 ほら、俺って恋のキューピッド気取りだから。 ………いかん興奮した。 そんなことを考えているとは露知らず、会長はしばらく放心したあと豪快に笑いだした。 え。なんで。 「クックック……それでこそ、山田だ」 ひとしきり笑ったあと、目尻に溜まった涙を拭った。 そのすきに会長の下から脱出しようとしたが、すぐさま手を捕られベッドに縫い付けられてしまった。くそう。 「疑ってわりぃな。でも、まだ本質は聞いてねぇぞ?」 「う………」 何で男装してまで男子校にいるか……か。 「やっぱり俺って……退学にさせられるんですかね」 男子校に女子が混じっているなんて、世間にも聞こえが悪い。 財閥や金持ちの息子が通う学校だ。世間の評判は大事だ。 自主退学…って形になりそうだ。 「普通はな。まあ俺が口外しなかったら良いだけの話だけどな」 「え………!」 会長はニヤリと笑い、俺の耳に息を吹きかけた。 「ぎゃあ!?何す……!」 「お前な、ちょっとは色気のある声出せよ…… ま、とにかく退学かどうかは俺次第だ。お前の言い分を聞かせてもらおうか」 逃げらんねぇよ? なんて言って不敵に笑った会長にうっかり萌えてしまった。 それでこそ俺様…!
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