ウェイターは脇役……のはず

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と、いうわけで。 俺は仕方なく理由を説明したのだった。 「……………」 「……………」 お互い無言。沈黙。 見下ろされている俺としては、気恥ずかしくて仕方ないが。 つーかいい加減この体勢やめれ。 この体勢で淡々と説明した俺。 考えるとシュールな絵である。 「お前……そんなくだらない理由で危険を冒して入学したのかよ」 会長の第一声はそれだった。 まあ分からんでもない。 BLの素晴らしさを知らない人には、俺の気持ちなんざ分かるわけないからな。 「くだらないですけど、俺にとってはこの上ない幸せなんで」 「その濁りのない眼差しやめろ」 えーだって本当のことだし。 「要はテメェ、藤堂と同じ類の人種か」 「一樹と同類にされるのはものすごく不快ですが、まあ根本は同じです。あそこまでオープンじゃないですけど」 「お前本当に藤堂の友人か」 酷いってか? さすがにあれだけ自重してないと、友達もやめたくなるもんだ。 一緒にいる俺が恥ずかしい。 「……そういうわけですから。さ、退いてください」 「お前、このまま逃げられると思ってんのか?」 「………え?」 どういうことだ、と首を傾げていると。 俺の耳に会長の舌が入ってきた。 「……ひっ、」 ぎゃあああああ!! ヌメッてした!気持ち悪いいいぃぃぃ なんて暢気に考えていると今度は目尻に啄ばむようなキスをされる。 マズイマズイマズイマズイ これはかなりマズイ状況じゃないのか? さっきまでの余裕はどこかへ消え、俺は焦って声を荒げた。 「ちょっと会長!何してるんですか!止めてください!!」 こうなったら、いつしか使った手を使ってやる。 俺は足を上げ会長の急所を目掛けて蹴り上げようとした。 「………!?」 「…フッ。俺が同じ手に引っかかるとでも思ったか?」 会長は口角を上げ、俺の頬にキスをした。 しかし今はそんなことで動じている場合じゃない。 だって、俺の渾身の一撃が…! 蹴り上げる寸前に、会長の脚で押さえ込まれたのだ。 なんてこった。
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