はじまり

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「遅れましたー。もう、進路について先生の話が長くてさー…ってあれ?」 背の高い、どちらかといえば体育会系の女生徒が俺たちを見下ろした。 「じいちゃん、この人たち誰?」 指を差されていい気分にはなれない。 さすがの翔哉も「生意気」なんて小言を呟いている。 「新しく入った新入生だよ」 「へぇ、新入生」 そう言って俺たちの前に立つ。 じっと見つめられたあとに彼女は声を上げて笑った。 「な、なんだよ」 「ちっちゃいねえ!」 「なっ!?」 つい立ち上がってしまった。 同じく翔哉も。 少なくとも俺はこの女よりは数ミリ高いと思う。 翔哉はすぐに椅子に雪崩落ちたが。 「私、坂口麻結。この部活の部長ね。」 部長からも握手を要請される。 今回は翔哉が握ってくれないらしいから、渋々俺が握った。 「一応、この子は副部長の宮下沙夜ちゃん。私の妹だから手出しちゃ許さないから」 笑いながら背中をバシバシ叩かれる。 やっぱりこの人、体育会系なんじゃ…。 「あ、じいちゃん忘れてた。松江先生よ。私はじいちゃんって呼んでるけど」 「なんでも構わないよ」 じいちゃん先生は微笑む。 本当に優しいな、この人。 「とりあえずこんな感じかな!」 部長が椅子にドカッと座った。 _
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