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軽いため息が自然に出る。
こいつ、いつもこんな感じだったら面白いのにな…。
「…とりあえず、口頭で説明してくれ」
翔哉が勢いよく頭をあげる。
何故だろう。
頭の上に犬みたいな耳がピンッと立っているように見える。
「この校舎の一番上の階にさ、屋上に上がる階段があんだろ!?」
「うん」
多分。とは面倒になりそうだから言わない俺は偉い。
「その階段の隣の教室!!」
俺は確か天体観測部なんてないだろうって思ってて、こいつは「それがあるんだよ」…って。
「場所だけ言われても、あるかどうか分かんねえじゃねえか」
またふふんと笑う。
その癖直したほうがいいと思う。
「教室の横に貼り紙があってさ、天体観測部って書いてあったんだよ」
なぜかプリントに教室の扉の絵と貼り紙を描いてくれる。
果たして本当にそれを描いているかどうかは俺の想像であるが。
「し・か・も!!たまたまじいちゃん先生が来てさ!」
今度はその「じいちゃん先生」とやらを描いてくれている。
俺には火星人、もしくは得体の知れない何かに見えるが。
「じいちゃん先生って?」
「おじいちゃんだからじいちゃん先生!」
名前がわからないんだろうということが判明した。
「でさっでさ!!」
じいちゃん先生らしき絵に幼稚園児が描くような星が付け足されていく。
「天体観測部へ見学かい?って優しい微笑みで聞かれたんだ!!」
「マジかよ…」
本当にあるんだ…。
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