きっかけ

9/9
前へ
/16ページ
次へ
ハートを塗りつぶすのを突然やめて立ち上がる。 「いてもたってもいられねえ!さっそく入部届け出してくる!お前の分もー!!」 「あ、おい…!」 俺が声を発したときにはすでに姿が消えていた。 「天体観測部ね…」 つまらなさそうだな。 もう一度校庭のほうを眺める。 今は陸上部が校庭のほとんどを占めていた。 『お前にかけているんだ』 『渡辺先輩、頑張ってください』 『バトン落とすんじゃねえぞ』 『よっしゃー!!さすが連!』 『渡辺先輩、お疲れさまです!』 『おい、渡辺!?どうした!?』 『…君はもう走れない』 「あー、何考えてんだ俺」 視線を空に移す。 「こうやって空見たの、いつ以来だっけ」 青く染まった空を目が痛くなるまでじっと見つめていた。 _
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加