序章

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「馬鹿な奴はすぐに死ぬ」 冷たく感情のない声が上から目線で聞こえた。 薄暗く湿気が酷いどこかの地下。 ロウソクの乏しい灯りが周りを囲っている。 俺は地面に這い蹲り右手に持つ短い日本刀を逆手に持っている。 激しい戦闘の中で鐔(ツバ)は砕けてなくなった。 小さいくせに金属を思わせる重量は健在だ。 左手はブラブラと糸が切れた人形のように反応しない。 無理に力を入れてみるが両手で構えることはできないようだ。 「左腕が折れたからなんだ!立て!」 上から怒号が飛ぶ。 見下しやがってクソ親父 俺は……アンタのその態度が…… 「大嫌いなんだよ!!!!」 言いながら床を思いっきり殴った。 何か硬い物を砕いてしまった感覚がある。 その感覚がはっきりと腕から頭に一気に流れ込んだ瞬間 俺は夢から覚めたのだ ボンヤリな頭の思考を少しづつ回転させる。 「…………夢?」 そして先ほどの痛みはなんだったのかと 右側をみた。 そこには無惨にもバラバラになった 目覚まし時計があった。 ネジは弾け、長針が折れて短針と変わらない短さになっていた。 キャラクターの可愛らしい絵はパズルとして見るならば100点だ。 これで時を止めたのは高校に入って5回。
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