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「あー、転校生紹介するからあんま騒ぐなよ。」
「先生転校生ってどんな人ですかー?」
「僕はカッコよくて素敵な方が良いなっ!」
「可愛い子来ねーかな~。」
―――聞いてない
転校生が来るなんて。
驚きと内心焦っているのが分かる。
そんな怜衣の気持ちや心とは裏腹に、教卓の前で司会をする担任の武内岳人は、廊下へと声をかけたのだ。
ガラッ…と教室のドアが開かれると同時に廊下から、転校生らしき人物が入ってきた。
「是澤一揆、よろしく。あと可愛い子と綺麗なものが大好きで、汚いのとは仲良くする気ないから。」
転校生の一揆がそう言うと、教室に居たチワワ所謂、可愛い系の容姿をした生徒達が黄色い悲鳴を上げながら、キャーキャーと騒ぎ出した。
そして騒がれる一揆を男らしい生徒達はジロリと睨む。
ふと横から声をかけられる。
「ねぇねぇ、怜衣。」
ん?と小さく声を漏らしながら振り返った。
声をかけてきた方を向くと、にこにこと笑みを浮かべ、男とは思いがたいぐらいに可愛らしい顔の平山鈴。
「なに?」
「是澤君だって、嬉しいよね!友達になれるかな?怜衣は嬉しい?」
はしゃぎながらにこにこと嬉しそうに顔を綻ばせる鈴の頭を、怜衣は優しく撫でる。
「…そうだな」
すっと目を細めて表情を柔らかくすれば、鈴も釣られて笑顔になった。
「えへへっ」
と本当に嬉しそうに笑う鈴の頭をもう一度撫でる。
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