始まりは此処から

2/9
前へ
/18ページ
次へ
「あー、転校生紹介するからあんま騒ぐなよ。」 「先生転校生ってどんな人ですかー?」 「僕はカッコよくて素敵な方が良いなっ!」 「可愛い子来ねーかな~。」 ―――聞いてない 転校生が来るなんて。 驚きと内心焦っているのが分かる。 そんな怜衣の気持ちや心とは裏腹に、教卓の前で司会をする担任の武内岳人は、廊下へと声をかけたのだ。 ガラッ…と教室のドアが開かれると同時に廊下から、転校生らしき人物が入ってきた。 「是澤一揆、よろしく。あと可愛い子と綺麗なものが大好きで、汚いのとは仲良くする気ないから。」 転校生の一揆がそう言うと、教室に居たチワワ所謂、可愛い系の容姿をした生徒達が黄色い悲鳴を上げながら、キャーキャーと騒ぎ出した。 そして騒がれる一揆を男らしい生徒達はジロリと睨む。 ふと横から声をかけられる。 「ねぇねぇ、怜衣。」 ん?と小さく声を漏らしながら振り返った。 声をかけてきた方を向くと、にこにこと笑みを浮かべ、男とは思いがたいぐらいに可愛らしい顔の平山鈴。 「なに?」 「是澤君だって、嬉しいよね!友達になれるかな?怜衣は嬉しい?」 はしゃぎながらにこにこと嬉しそうに顔を綻ばせる鈴の頭を、怜衣は優しく撫でる。 「…そうだな」 すっと目を細めて表情を柔らかくすれば、鈴も釣られて笑顔になった。 「えへへっ」 と本当に嬉しそうに笑う鈴の頭をもう一度撫でる。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加