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「お。可愛い子発見~」
「えっ?」
鈴はきょとんとした表情で声のした方を振り向いた。
するとそこに立っていたのは、ついさっきまで教卓の横に立っていたはずの一揆が、鈴と無表情な怜衣の机の前に立っていたのだ。
「さっきの紹介聞いてくれた?」
にこっと優しそうに鈴に話しかける一揆。
「うん!聞いてたよ。是澤君だよね」
元気よく頷いてにこにこと可愛らしい笑顔を浮かべる。
にこにこと可愛らしい笑顔を返す鈴に気を良くしたのか、一揆はギュッと鈴の手を握りだした。
「ふぇ!?」
と当然のように驚く鈴。
「名前教えて――」
不意に鈴の手を握っていた一揆の手が宙を舞った。
「お前、是澤か何か知らないけど馴れ馴れしすぎ。」
一瞬、手を振り払われたことに驚いた一揆だったが、次の瞬間狙うターゲットを変えるかのように鈴から怜衣へと視線を移した。
椅子に座っていて下までは見えないが、上から下まで舐め回すように見つめだす。
その視線を感じて不快そうに眉を寄せる怜衣。
「へ~…生意気だけどかなり上玉だな。名前は?」
本当ならば教えたくもないところだが、一応クラスメートということなので教えることに。
渋るように名前を呟く。
「……高埜怜衣」
「怜衣か…決めた」
怜衣の名前を呟くと口角を上げてニヤリと笑い、次の瞬間、怜衣にとっては爆弾発言をしたのだ。
「――今日から俺のモノにしてやるよ、怜衣。」
「…は…!?」
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