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―――何言ってんだコイツ
そんな目で呆れながら一揆の顔を見つめる怜衣。
周りはただただ、さっきの一揆の発言に驚いてざわつくばかり。
呆れながら見ている視線を勘違いしたらしく、
一揆は再びとんでもないことを口走ったのだ。
「なに?見惚れたか?」
「……はぁ」
幸せが逃げようがため息を吐かずにはいられない。
―――そんな中、一人の小柄で可愛らしい生徒が立ち
「ちょっと、キミ!?怜衣様は皆のものなんだから!」
ビシッと一揆を指さした。
勝手なこと言わないで!と声を上げた小柄な少年の姿は、ぷりぷりという効果音が聞こえてきそうだ。
一揆は目をぱちくりさせて自らの前に立つ少年を見つめる。
「みんなのもの、ね…」
じりじりとにじり寄ってくる一揆に後ずさる。
「っ…近づかないでよ!怜衣様は――」
スッ…と少年と一揆の間に腕が入ってきた。
「確かに、俺は揉め事は嫌い…でも、お前のがもっと嫌いだから」
「是澤」と付け足しながら、怜衣は少年を隠すようにと背後に回した。
「れ、怜衣様…!」
「ネコちゃんは俺のだから」
と囁くように言われたその言葉を聞いた少年は、頬をうっすらと紅く染める。
そっと少年の耳元で呟く。
「席に戻りな」と。
怜衣に言われた通りにこくこくと頷き、少年は小走りに自分の席へと戻っていった。
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