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長いにらみ合いと怜衣による言葉の投げやりという戦闘と眠い授業を終えた、昼休み。
約束通り怜衣は鈴を連れて食堂に向かおうと教室を出た時、再びとある人物が二人に接近してきた。
「鈴ちゃんの可愛さが怜衣にもあ」
「煩えよ。つか放っとけ」
食堂に行く序にと持っていた袋を躊躇するどころか、遠慮なく顔に投げつける。
まぁ、それを一揆は余裕で避けたのだが。
「言葉遮るの好きだな、怜衣は。あぁ、照れ隠しか」
うんうん。と一人なんだか勝手に解釈をし頷き納得している一揆は視界の外。
いつの間にか怜衣は鈴を連れて食堂に辿り着いていた。
暫く気づかず一人世界に浸っていた一揆が気づいたのは、とっくの昔に二人の姿が見えなくなってから。
「カレーパン、美味しかったねーっ!」
表すならるんるんとした気分でプリンを頬張る鈴が言う。
「あぁ、美味かった」
「怜衣も食べる?」
食べていたプリンを一口分掬い乗せたスプーンを差し出しながら。
「ん。今はいい」
遠慮すると鈴は、「じゃあ、また欲しくなったら言ってね」とにこりと笑いながらプリンの咀嚼を再開した。
やはり鈴はいつ見ても可愛らしい。
下手をすれば失礼だが、普通の女の子よりも可愛いんじゃないだろうか。
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