77人が本棚に入れています
本棚に追加
最初は大好きな女の子が居ない、とこの学園生活をさせられる羽目になったことは恨んだ。
だが、密閉された生活を今となってはこうして満喫している自分が居る。
そしてこの男子だけしか居ない世界に今では馴染んでいる上にしかも男子までも恋愛対象となるようになった。
…ということは、今や可愛い子なら男女関係なく狙うは来る者拒まず去る者追わずの怜衣。
勿論、これは前からも思っていたのだが―――やはり鈴は可愛い。
可能なことなら是非とも一夜を共にしたいものだ。
そんな少し善からぬことを企んでいると、ふいに背後から嫌な気配がした。
「…れ、い、く、ん」
名前を呼ばれ振り返る間もなくふぅ、と態とらしく耳元で息を吹き掛けられた。
「ッ…!?…てめ…っ」
感じた?なんてふざけたことを言うのは聞き捨てならない。
誰だって突然耳元で息を吹き掛けられれば驚きもするはずで…そう、不可抗力だ。
ギロリとガンを飛ばすように睨み付けるも悪ぶれる様子もなく平然とした態度で、鈴の隣に腰を下ろし話しかける一揆。
「あれ、是澤君?」
「やっぱり鈴ちゃん可愛すぎる。今夜空いて」
「黙れ。禿げ転校生」
「んだよー、もしかして放置プレイしたから焼きもち焼いた?」
―――悪い、鈴。俺、コイツとは仲良く出来ねえ気がする。
最初のコメントを投稿しよう!