悲しき復讐の十字架

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そうこうしているうちに、事務所でもあるマンションへ帰ってきた。 ボスの自宅兼事務所、といっても自宅の部分も一応社長室ということにもなっている。 事務係の人以外の仲間は、大体ここに集まる。 集まる人は、暇をしている人か、有能な人がここで仕事したり、あるいはボスの命令でここに来た人とある。 今回ボスに呼ばれたメンバーは、俺と静兄ィと燐姉さんだ。 テーブルの上に置かれた、日向さんの入れたコーヒーをボスが飲んで、一息入れて話し始めた。 「さて、早速ですが紺野。 新しい情報は何かありましたか?」 いつもはだらしなく話す燐姉さんだが、ボスの前だと流石にハキハキと話す。 燐姉さんって、実は多重人格者なのではないかと思うくらい、普段との差が激しいのだ。 「はい、まず私が今働いていポルノビデオの会社で、衣装代や、食事代や、化粧代、指導料の代金などで、やはり借金を背負う羽目になりました。 住み込んでいるわけではないのですから、家賃は取られませんでしたが…」 「なるほど・・・ それで内崎に関する情報で新しいのは?」 「あまりたいした情報ではないと思いますが、たしか内崎は『ラブリーエンジェルズ』という高級キャバレーに毎回通っているみたいなんです」 するとボスはピクッと眉を動かし、少し考えた。 「その情報が確かなら、内崎を落とすのはうまくいくかもしれませんね。 よし、この作戦は進也と橘でやってもらいましょう」
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