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「あたしもおかしいと思ったのよ。
ここの女優の半分くらいは、なんだか心ここにあらずな感じで。
男に抱かれているときは、なんだか幻覚を見ているみたいだったのよ」
「幻覚?どういうことですか燐姉さん?」
「わかりやすく言うと、彼氏か旦那に抱かれていると勘違いしてるみたいなのよ」
それを聞いたボスは、葉巻を吸いながらこう言った。
「たぶんケミカルの幻覚作用のせいですね。
普段からあまり抱いてくれない彼氏や旦那に抱かれるという幻覚を見てしまっているのでしょう」
とにかく燐姉さんからの情報はここまでだ。
内崎の仕事はスカウトだけでなく、精神病院からほとんど自我を失った人物を前提に、容姿やら何やらをチョイスする。
まるで奴隷市場でつかえそうな奴隷を探すかのように。
すると電話の奥から、また燐姉さんが話しかけてきた。
「ああ、それと最後にいい忘れてた事を言うわ。
内崎って男は、社長の右腕的存在らしくて、一番信頼されているみたいなの。
それじゃあもう切るわね」
通話が切れたので、俺も携帯をポケットにしまった。
「社長の信頼できる男か…
もしかしたら、そこから崩すことが出来るかもしれませんよ進也・・・」
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